毎日新聞「ご近所のお医者さん」で、橋本病について解説いたしました

毎日新聞「ご近所のお医者さん」で、橋本病について解説させていただきました。皆様の健康のお役に立ちましたら幸いです。


甲状腺機能低下症について

「甲状腺ホルモンが少ない病気=橋本病」ではありません


姜内科クリニック院長

姜信午(東成区)


私は甲状腺疾患で悩む患者さんの診療を専門にしている内科医です。甲状腺は首の前方、喉仏の少し下方にあり、直径約5センチメートルで、よく蝶のかたちに例えられる器官です。甲状腺には、体の代謝を調整する甲状腺ホルモンを、合成・貯蔵・分泌する働きがあります。


甲状腺の病気は腫瘍と機能異常に大別できます。機能異常のうち、甲状腺ホルモンが血中に過剰となる疾患の代表例にバセドウ病、逆に不足する疾患の代表例として橋本病があります。今回は橋本病について解説します。

甲状腺ホルモンが少ない状態を橋本病と誤解されることがよくありますが、そうではありません

橋本病は甲状腺ホルモンの合成に必要な物質への抗体(以下、自己抗体)が血液中に発生し、甲状腺に慢性的な炎症が生じる自己免疫性疾患です。診断は甲状腺ホルモンの低下ではなく、甲状腺が腫れていることと自己抗体の存在がポイントとなります。ホルモンバランスについては、炎症の影響で甲状腺が破壊され機能低下症となってしまう方もいますし、炎症が軽度で甲状腺機能が正常という方もいます。

一方、橋本病ではないのに、甲状腺の機能が低下してしまうこともあります。ヨード摂取量が多すぎたり、普段服用している薬だったり、バセドウ病の治療薬だったり、先天的なものだったり、脳(下垂体や視床下部)のトラブルだったりと原因は様々です。ヨード不足も甲状腺機能低下症の原因となりますが、ヨードが充足している日本では通常は存在しません。バセドウ病の根治目的や甲状腺癌の治療目的で甲状腺全摘術を受けると、甲状腺がなくなってしまうので甲状腺機能は低下しますが、これも橋本病とは呼びません。このような状態は、術後甲状腺機能低下症と呼びます。

甲状腺の病気についてはわかっていないことがまだまだ沢山あります。首の浅いところにあるのに、実はとても奥が深いのです。


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