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執筆者の写真姜内科クリニック

産経新聞夕刊で、甲状腺疾患について解説いたしました。2019.06.29

産経新聞夕刊にて、甲状腺の病気について解説いたしました。皆様の健康の役に立ちましたら幸いです。



カラダの相談室 第1回 「甲状腺の疾患」

暑がりで、疲れやすい。あるいは、寒がりで、無気力などの症状などがあっても典型的症状が乏しい場合は放置されがちです。

 60歳後半の女性です。年を重ねていくと女性は甲状腺の病気になる可能性が高いと聞いています。この臓器の役割や病気についてはほとんど分かっていませんので教えてください。

甲状腺は首の前側にある甲状軟骨の突起(俗称・のど仏)のすぐ下にあります。食べ物に含まれるヨウ素を材料として「甲状腺ホルモン」を作る工場のような臓器です。正常な成人では、大きさは縦4㌢、厚さ1㌢、重さは20㌘ほどの小さな臓器です。


このホルモンは脳や心臓、胃腸を活性化させたり、全身の細胞の新陳代謝を促進してエネルギーを作り、体温を調整するなど大切な役割を担っています。甲状腺ホルモンの合成は、脳(脳下垂体)から分泌される「甲状腺刺激ホルモン」によって微妙に調整されています。


ところが、脳からの刺激ホルモンによる指令がなくても、体内に病的にできた自己抗体によって甲状腺が刺激されると、甲状腺ホルモンが過剰に分泌(甲状腺機能亢進症)されてしまいます。

また、甲状腺にダメージを起こす自己抗体によって甲状腺ホルモンの分泌が減ってしまう事(甲状腺機能低下症)で、全身にいろいろな症状(表参照)が出てきます。前者はバセドウ病。後者は橋本病です。甲状腺疾患にはその他として結節性疾患(しこり)もありますが、今回はバセドウ病と橋本病について説明します。


検査では、まず血液検査が必要です。結果によって正常、亢進、低下の状態、自己抗体の有無を知ることができます。次に超音波(エコー)検査で大きさや血流を調べます。この2つでほぼ診断は可能です。


バセドウ病の治療は3つありますが、医師とよく相談してください。一つは、甲状腺ホルモンの合成を抑制する薬剤の服用です。次に手術(甲状腺を切除し小さくする)、最後は甲状腺細胞を減らすアイソトープ(同位元素)が入ったカプセルの内服です。


橋本病は不足するホルモンの補充治療しかありません。この服用は多くの場合、生涯に渡って続けなくてはいけません。


甲状腺疾患が起因する心房細動や高コレストロール血症などもあります。更年期の症状とよく似ている点もあり鑑別が大切です。気になる症状があれば、かかりつけ医に相談して検査をしてください。結果によっては専門病院を受診することをお勧めします。

甲状腺機能異常症は、軽度(潜在性)も含めると成人の7〜10%の頻度で認められます。なかでも甲状腺機能低下症は加齢とともに有病率は高くなり、男性よりも女性の方位高頻度にみられますが、軽度(潜在性)の甲状腺機能低下症であれば経過観察で良い場合もあります。


次回(6月下旬予定)は「糖尿病」です。


【略歴】

姜 信午(かん・しの)

平成17年、関西医科大学卒業。その後、市立ひらかた病院内科、康生会武田病院内分泌糖尿病内科、甲状腺疾患専門病院の隈病院などを経て、平成30年10月開院。

日本内科学会、日本内分泌学会、日本糖尿病学会、日本甲状腺学会などに所属。

☆姜内科クリニック 大阪市東成区大今里西1の30の18(℡ 06・6971・2200)

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