産経新聞の夕刊で、糖尿病について解説いたしました。2019/06/03

糖尿病についての解説です。皆様の健康のお役に立ちましたら幸いです。


初期では自覚症状はほとんどありません。進行すると、よくのどが渇いたり、多尿・頻尿などの症状が出てきます。目や腎臓、神経の合併症を引き起こす怖い病気です。進行する前に医師の指導や治療を受けてください。


患者の大半は「2型」

初期に自覚症状なし


 40歳後半の男性です。健康診断(以降健診)で高血糖とHbA1c(ヘモグロビンエーワンシー)高値のため糖尿病の疑いを指摘されました。母は糖尿病でした。この病気は遺伝因子も関係すると聞いていますし、私は運動不足もあり若い頃より体重も10㌔以上増えてしまいました。どのような病気なのか教えてください。


 糖尿病には、

自己免疫機能の異常でインスリンが作られなくなって発症する「1型糖尿病」、遺伝的な要因に運動不足や過食などの生活習慣が加わって発症すると考えられている「2型糖尿病(以降2型)」、妊娠中に初めて見つかった糖尿病には至っていない糖代謝異常の「妊娠糖尿病」、「その他のホルモン疾患や遺伝子異常による糖尿病」があります。あなたの場合は2型の可能性があり、最も一般的な糖尿病になります。患者の9割以上がこのタイプです。


血糖値は肝臓、脂肪組織、筋肉、中枢神経系がどの程度の糖を取り込めるか、あるいは、肝臓がどの程度の糖を生み出すかで決まります。その調整にはさまざまなホルモンが関係しています。血糖上昇には脳下垂体、副腎、甲状腺から分泌されるホルモンや、膵臓のα(アルファ)細胞から分泌されるグルカゴンというホルモンが深く関わっています。血糖低下では膵(すい)臓のβ(ベータ)細胞から分泌されるインスリンというホルモンが深く関わっています。このインスリンが体の組織で代謝調節の働きを十分発揮できないと血糖値は上昇します。

血糖を下げるためのホルモンはインスリンだけしかなく、体の組織で代謝調節の働きを十分に発揮しないと血糖値は上昇します。過食や運動不足などの生活習慣因子により内臓脂肪や筋肉内の脂肪が増えてしまうと、インスリンの作用が弱まってしまいます。初めのうちは、β細胞はたくさんのインスリンを生み出して頑張ってくれます。それが慢性化すると、β細胞の数が減少したり、個々の働きが弱まってしまい、慢性の高血糖に至ります。

2型の初期には自覚症状がありません。放置し慢性化すると糖の影響で血管が傷み、毛細血管が多い目の網膜や腎臓、そして神経などに重篤な合併症を起こしやすくなります。細い血管のみならず大血管にもダメージが及ぶと、脳血管障害、心臓病、下肢の血管が詰まる閉塞性動脈硬化症のような合併症が生じてしまいます。

そのため、予防と早期発見が大切です。健診では「空腹時血糖値」を用いていますが、2型糖尿病は食後の高血糖が慢性化した後に、空腹血糖値が上昇し始めるパターンが多いです。

空腹血糖値が軽度に高い状態、いわゆる「境界型」の状態のときに生活習慣を見直すことがとても重要ですので、健診で医療機関の医師の診察を勧められたら早めに受診してください。


【略歴】

姜 信午(かん・しの)

平成17年、関西医科大学卒業。その後、市立ひらかた病院内科、康生会武田病院内分泌糖尿病内科、甲状腺疾患専門病院の隈病院などを経て30年10月開院。日本内科学会、日本内分泌学会、日本糖尿病学会、日本甲状腺学会などに所属。日本糖尿病学会専門医。

☆姜内科クリニック 大阪市東成区大今里西1の30の18(℡06・6971・2200)

50回の閲覧