「バセドウ病治療中で、FT4は正常域なのに、FT3が高値となってしまっている状態(T3優位型バセドウ病)について」



バセドウ病のためメルカゾールやチウラジールのような抗甲状腺薬を長期服用しているのに、甲状腺ホルモンの血液検査であるFT4とFT3のバランスが取れない方がおられます。具体的には、血中FT4値 正常なのに、血中FT3が高い状態が3か月以上にわたって続くパターンです。


通常であれば、甲状腺でのホルモン合成は、そのほとんどがT4であり、T3はわずかです。ところが、バセドウ病を患っておられる15%の方に、T3が多く合成されてしまう現象が見られると報告されおり、このようなパターンをT3優位型バセドウ病と呼びます。

対面診察中にすべて説明できれば良いのですが、さすがに難しいので、ブログに書かせていただきます。


<何が起きているか>

甲状腺内で、T3が多く作られてしまう状況が続いている(T4からT3への転換が過剰な状態)。

<どのような方に多いか>

甲状腺の大きさが目立つ方に多い

TRAb(TSHレセプター抗体)が高い方が多い

<特徴>

抗甲状腺薬を中止できる可能性が低く、生涯に渡って抗甲状腺薬服用を続けなければならない場合もあります。当院では、T3優位型バセドウ病の方が改善したり悪くなったりを繰り返す場合はもちろんですが、比較的安定していても、根治療法(手術で甲状腺摘出、放射性物質内服治療)を一度は説明するようにしています。


なお、T3優位型バセドウ病を世界で初めて報告された先生は、高松内科クリニック(高槻市)の高松順太先生です。1983年に邦文で、1984年に英語で報告されています。

Takamatsu J, Sugawara M, Kuma K, et al.: Ratio of serum triiodothyronine to thyroxine and the prognosis of triiodothyronine-predominant Gravesʼ disease. Ann Intern Med 100: 372-375, 1984